原因のテクニックは何か?
音楽家の手の痛みのほとんどが筋肉と腱の痛みなのですから、原因となるテクニックは「強く打鍵すること」「大きな音を出すこと」と考えるのが普通でしょう。
私も当初はそう考えていたのですが、訪れる患者さんの話を聞いているうちに、必ずしもそうではないことに気づきました。
右の表は、手を痛めたピアニストに「どんなテクニックの練習で痛めたか?」という質問をして、答えていただいた結果をまとめたものです。驚いたことに、「フォルティッシモで打鍵したから」と答えたのは8%しかなく、全体の7割以上がオクターヴや和音の練習と答えていたのです。この2つのテクニックに共通するのは、親指と小指を広げた状態で打鍵することです。したがって、例えばオクターヴの連打を練習する等という場合は「手を痛めることが多いのだ」と心に念じて、初めから無理をせず、小刻みに休みながら練習するなど、手をいたわりながら練習することが大切です。
また手が小さくてオクターヴが苦手な人は、普段ピアノを離れた時でも親指と小指を広げるストレッチをするといいでしょう。 |